カリフォルニア州の雇用主は職場の暴力防止計画が必要
-カリフォルニア州のすべての雇用主は、職場の暴力の危険性を適時に特定し是正し、効果的な研修を全従業員に提供し、職場の暴力の報告に対応し記録しなければならない。
- すべての雇用主、従業員、就業場所、雇用主が提供する住居は、職場の暴力を労働安全に関連付ける新しいカリフォルニア州労働法の要件に従わなければなりません。
- カリフォルニア州労働安全衛生局(Cal/OSHA)は現在、職場暴力防止基準を作成しており、カリフォルニア州労働安全衛生基準委員会(OSHSB)への提出期限である2026年12月31日が迫っています。
戦略の転換: EUと米国の制裁管轄権について
- 制裁の域外適用の範囲は、歴史的に米国とEUの間で異なっており、米国の方がより積極的でした。 最近では、EUのルールは米国寄りにシフトしています。
- EUのロシアとベラルーシに対する制裁の域外適用範囲は大幅に拡大し、EU企業(受動的なEUの親会社を含む)を組織構造に持つ日本企業にも影響を与える可能性があります。しかし、EUは、現地の法律が遵守を妨げている状況について企業が説明することを認める「最善の努力」規則を適用しています。
- 世界中で事業を展開する企業は、EUでの事業が適用される新しい基準を満たすよう、社内のコンプライアンス方針を再検討する必要があります。
連邦取引委員会:競業避止ルールを当面禁止する連邦地裁判決
-今後さらなる訴訟が予想され、競業避止契約に関する多くの州法上の制約を考慮すると、雇用主は、引き続き慎重に、競業避止契約を従業員に提示することが求められます
- 2024年8月20日、テキサス州北部地区連邦地方裁判所は、Ryan, LLC対.FTC事件において略式判決を下し、2024年9月4日に施行予定であった連邦取引委員会(FTC)の競業避止条項規則を無効としました。
- 同裁判所は、FTCには不正競争を規制する実質的な規則を制定する権限はなく、加えて、同規則は恣意的かつ濫用的なものであると結論づけました。
- 今回の判断により、FTCによる同規則の施行が禁止されることになりました。
デラウェア州衡平法裁判所の判決を受けて、デラウェア州会社法(DGCL)の重要な改正が採択
-デラウェア州議会はDGCLの改正を採択し、合併契約や企業・株主間の契約の確実性を担保
- デラウェア州会社法(DGCL)は、今般の改正により、定款に明示的に規定されているか否かにかかわらず、企業が株主との間で、特定のガバナンスに関する権利について、有効かつ強制力のある契約を締結することができる権限を持つことを成文化しました。
- 取締役会は、存続会社の定款やディスクロージャースケジュールを含まない取引契約(合併または統合契約)を、「ほぼ最終的な形式」で有効に承認することができることを明確にしました。
- 合併契約における株主プレミアムやリバース・ターミネーション・フィーの賠償を予定する損害賠償条項は有効であり、執行可能であることを明確にしました。
企業透明化法(Corporate Transparency Act):2025年1月1日に迫る提出期限に向けて、準備はお済みですか?
- 実質的所有権情報(Beneficial Ownership Information)に関する報告書は、金融犯罪取締ネットワーク(Financial Crimes Enforcement Network、以下FinCEN)を通じて電子的に提出する必要があります。
- 実質的所有者又は会社設立申請者として報告が必要な個人は、FinCEN ID番号を申請する必要があります。
- 企業透明化法に故意に違反した場合、1日あたり500ドルの罰金や、場合によっては懲役刑が科される可能性があります。
アメリカ昨今の法の執行状況に対する企業の備え
- 米国連邦当局は近年、サイバーセキュリティ、AI、金融犯罪、汚職、通商制裁の分野で、ヘルスケア、テクノロジー、金融業界を標的とした企業取締りを強化しており、企業のサイバー関連ツール、AI、暗号資産の使用を特に注視しています。
- 企業が米連邦捜査のリスクを軽減する最も効果的な方法のひとつは、会社の規模、業務内容、洗練度に見合った有意義で効果的なコンプライアンス・プログラムを導入することです。
- 米国で事業を展開する日本企業や、米国の規制対象となる会社は、調査が始まる前に対応のプランを立てるべきです。 最も重要なことは、経営陣が適切な方針を示すことです。
「シェブロン法理」の終焉
―連邦政府の規則制定権限に対する司法優位性の復活
- 1984年、連邦最高裁は、特定の許可要件から規制を緩和するという米国環境保護庁 (EPA)の大気浄化法に基づく規則を無効とした下級審判決を破棄し、シェブロンU.S.A.対天然資源保護協議会(NRDC)事件に判決を下しました。
- 連邦最高裁は、Loper Bright事件とRelentless事件において、1984年の判決で確立したシェブロン法理を覆すべきか明確化すべきかを争うため、上訴を許可しました。
- 2024年6月28日、連邦最高裁は、シェブロン法理が連邦司法府はすべての法律問題を決定しなければならないという憲法の定めを無視している、さらに行政手続法(APA)の主要条項のひとつにも違反していると判断し、1984年の判決には欠陥があったとして、シェブロン法理を破棄しました。
法的リフ:音楽業界はAIが不協和音だと主張-訴訟が続出
- 訴状の主張は、SunoとUdioが開発した生成AI技術が、ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)、ソニー・ミュージックエンタテインメント、その他の大手レコード会社が所有する著作権を直接侵害しているというものです。
- 生成AIモデルに対する予測不可能性と潜在的リスクの増大により、AIプラットフォームがアーティスト、作家、ジャーナリスト等とライセンス契約を結ぶ動きが顕著になっています。
共同開発における知的財産の保護にはNDAに留まらない合意形成が必須
- 他の企業との共同開発に関わる場合、既存の知的財産(バックグラウンドIP )を十分に守るためには慎重なアプローチが必要です。また共同開発がどのように進むかのシナリオを考慮して、既存の知的財産のみならず、共同で開発した知的財産(フォアグラウンドIP)の保護も念頭に入れる必要があります。
- 特にスタートアップ企業が自ら開発した技術をレバレッジとして他企業とコラボレーションする場合にこの点は非常に重要になります。
- バックグラウンドIPとフォアグラウンドIPの双方を十分に守るためには、守秘義務契約では不十分です。後々のトラブルを事前に回避し、建設的かつ効率的な共同開発を進めるために、プロジェクトの冒頭で合意形成をすることが大切です。
米国における包括的な連邦プライバシー法成立に向けた再度の動き
- 米国プライバシー権法(American Privacy Rights Act、以下APRA)として知られるこの法案は、継ぎ接ぎの既存の米国プライバシー法制を調和させることを目的としています。
- APRAは消費者に新たなプライバシーの権利を創設し、データ収集の最小化を求め、データ侵害などに基づく広範な民事訴訟を提起する権利を規定します。
- この法案は、遂にプライバシーに関する全米共通の基準を定めるための手段となるかもしれません。
EPA、PFAS化合物をCERCLA上の「有害物質」に指定する最終規則を制定
- 米国環境保護庁(EPA)は、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の2つのPFAS化合物を、包括的環境対応・補償・責任法(CERCLA)上の有害物質(Hazardous Substance)に指定
- EPAは、政府の潜在的責任当事者(PRP)に対するCERCLA執行の優先順位を公表
- PRPであると認定される可能性のある者は、保険を含む責任軽減策を検討すべき
USTR、301条の対中関税に関する報告書を受けパブリックコメント募集
- USTRは、本年3月14日に1974年通商法301条の下、過去4年間に取られた措置に関する調査報告書を発表し、この調査結果に基づく今後の対応を近く発表すると述べていました。
- 報告書は、一部の関税品目についてさらに関税率を引き上げるよう勧告していましたが、5月22日USTRは301条関税の引き上げに関する具体的な提案を行いました。
- 米国内製造に使用される特定のカテゴリーの機械について、利害関係者が一時的な除外を申請できる除外手続きが設けられますが、それ以上の一般的な除外申請手続きは発表されませんでした。
- USTRは2024年6月28日までに利害関係者からのパブリックコメントを求めています。
米最高裁、職場差別に関する公民権法タイトルVIIの訴えの基準を緩和
- 米連邦最高裁判所のMuldrow v. City of St. Louis事件の判決は、意思に反する横滑りの人事異動に対してタイトルVIIに基づき異議を唱える従業員は、その人事異動が雇用条件に関して「何らかの損害」(“some harm”)または「何らかの『不利益』な変化」(“some ‘disadvantageous’ change”)をもたらしたことを示せばよく、その損害または不利益な変化は「重大」(“significant”)である必要はないとしました。
- この判決は、タイトルVIIに基づいて人事異動に異議を唱える従業員が、差別を受けたことを立証するために、損害に関するより厳しい基準を満たさなければならないかという論点について、米国連邦控訴裁判所間の解釈の不一致 を解決するものです。
- 最高裁が、第1、第2、第4、第7、第8、第10および第11巡回区を含む、これまで「重大性」基準を適用していた巡回区においても、より緩やかな基準を確立したことにより、職場におけるタイトルVIIに基づく訴訟が顕著に増加する可能性が高いといえます。これには、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)プログラムを争点とする逆差別の訴えなども含まれるでしょう。
AIの世界へようこそ:導入に際する法的留意点
急速に進化する人工知能(AI)の世界では、AIソリューションの導入、設計から実施まで、開発の複雑なプロセスを共に舵取りするパートナーを見つけることが極めて重要です。ピルズベリーは、この分野の最前線に立ち、AI導入のあらゆる段階で比類のない専門知識とサポートを提供します。当事務所は、クライアントがAIをスムーズかつ戦略的に導入し、有効活用できるようお手伝いします。
カルテル取り締まりにおけるアメリカの最新動向と展開
‐ 取り締まり強化の流れとプライオリティの変更
- 司法省の反トラスト法部門の高官は、米国各地にある5つの刑事局で150件以上の大陪審による捜査が進行中であり、その3分の1以上は国際的な側面を有する案件であると述べました。
- 捜査手法も変化してきています。反トラスト法部門は、通信傍受や潜入捜査官を含む秘密捜査技術の使用を強調しています。政府はまた、カルテル調査におけるデータや書類の保存義務に関するガイダンスを更新し、(一定の時間が経つと投稿が自動的に消滅する)エフェメラル・メッセージに対応することを明確にすると発表しました。
司法・商務・財務の3省が、非米国企業に制裁・輸出管理遵守の警鐘
- 米国政府3省合同のコンプライアンス指針は、米国人以外による制裁および輸出管理法遵守強化への期待の現れです。
- 米国の通商法遵守を監督する3つの連邦機関が、非米国人に適用され得る米国の制裁および輸出管理法について概要を示ました。
- 今回の発表は、制裁および輸出管理の遵守を監督する任務を負う3省が、これらの法律の違反者は世界のどこにいても積極的に摘発することを強調しています。`
- 3省が発表した指針は、非米国人に対するコンプライアンスに関する推奨事項を提示しています。
米国控訴裁判所、DEIイニシアチブを抑制する2つの法規制を阻止
- 連邦第11巡回控訴裁判所は、憲法修正第1条の懸念に基づき、フロリダ州の「Stop WOKE Act」において、DEIの概念を支持する強制的な研修を制限する条項の施行を阻止しました。
- 第2巡回控訴裁は、企業のフェローシップ・プログラムの差し止めを求めた非営利団体の訴えを、同団体は当事者適格を欠いているとして却下しました。
- DEIイニシアチブをめぐる法的状況は急速に変化しており、DEIイニシアチブに関する多くの争点が裁判所や地方議会で議論されています。
デラウェア州衡平法裁判所、株主間契約によく見られる特定の取締役会支配権を無効とする判決
-上場・非上場会社の株主間契約で良く使われる条項の執行力に疑問を投じる
- 裁判所は、株主間契約における特定の支配権について、取締役会から法令で定められた重要な権限を奪うものであるとして無効としました。
- 無効とされた支配権の多くは、会社の定款に盛り込むことにより、適切に効力を発生させることが可能でした。
- 企業も株主も、同様の条項のある既存の契約を見直し、変更が必要かどうかを判断する必要があります。
米議会、超党派的にAIに取り組み、下院AIタスクフォースを立ち上げ
- 下院首脳部は、AI規制の優先順位を概説し今後のAIの発展に役立つ指導原則を設けるための報告書を作成し、超党派グループ「人工知能(AI)に関するタスクフォース」の発足を発表しました。
- AIタスクフォースの目標は、今年両院で承認される可能性のある一連の立法案を特定することです。
- 議会がどのようにAIの危険性と可能性に対処するかについては意見が分かれているものの、分断されている米国議会において、AIは超党派のコンセンサスが得られている分野であり、議会会期中には超党派の立法案がいくつか提出されています。
BIS、自発的自己開示プロセス (VSD) の追加強化を発表
- 2024年1月16日、米商務省産業安全保障局(Bureau of Industry and Security)輸出管理法の執行部門は、VSDプログラムの全体的な効率性と有効性を高めるために、VSD手続きのいくつかの更新を発表しました。
- これらの機能強化は、軽微な違反に対する開示プロセスをより合理化するものであり、これには、簡素化された開示説明、四半期ごとの一括開示、5年間遡及して行うレビューを不要とするなどの変更が含まれます。
- ここ数年で3回目となるVSD政策強化は、BISが引き続きVSDプログラムにおける当事者の協力を促進するものです。